あなたは迫りつつある就職活動を前に「映画監督になりたいなぁ」とか、「映像系の仕事をやってみたい」とか、「一度きりの人生だから好きなことを仕事にしたいなぁ」とかって、ぼーんやりと考えていませんか?
これから言うことを、ちょっと想像してみてください。
もし、あなたが5年後に、映画を作ることになったとします。予算は、ハリウッド映画に比べると微々たるものかもしれませんが、今のあなたからすると信じられないくらいの金額です。
どんな役者を使っても、どんな場所で撮影しても、あなたの好きなようにして良いです。CGを使いたいならば、もちろん使ってもOKです。なぜなら、あなたがこの映画の監督だからです。
さて、5年後にあなたが作ることになった映画はどんな映画でしたか?
その映画は、スーパーヒーローが出てくるアクション映画かもしれないですし、難解な殺人事件をテーマにしたミステリー映画かもしれないです。もしかしたら、女子高生にウケる青春ラブコメディーの映画かもしれませんね。
もし、5年後にあなたが本当に映画が撮ることになったらどうでしょう?ものすごくワクワクしますよね。
でも、普通の大学生のあなたは、どうすればこんな風に映画が撮れる未来の自分に近づけるのでしょうか?
今のあなたはこんなことで悩んでいませんか?
- なんとなく映画監督になりたいけど、実際にはどうなのかな?
- 映像系の仕事をするために現実的に、いま何をするべきかわからない?
- 好きじゃないことを将来の仕事にしたくはない!
- 大学生だけど映像の勉強のために専門学校に行くべきなの?
- 映像制作が自分に向いているのかわからない。
もし1つでも当てはまれば、これからの文章は、あなたの役に立つと思いますよ。
僕自身は映画監督ではないですが、アメリカの大学院で映像を学んで、現在は映像制作を仕事にしています。機会があって大学や専門学校でも教えています。
自分自身のことを考えると才能があってここまで来たというよりも、道のないところを悩みに悩みながら這ってきました。なので、あなたの悩みも自分のことのようにわかります(笑)。
初めに断っておきますが、こうすれば「必ず映画監督になれます!」みたいなことをお話しするつもりはありません。僕ができるのは、ぼんやりと映画監督になりたいなぁと思っている大学生に対して、その夢を叶えるための「現実的な一歩って何か」をお話しすることです。
本題に入る前に、まずはあなたの頭の中をのぞいてみましょう。
目次
最近のあなたの頭の中はこんな感じでは?
最近のあなたがどんなことを考えているのかを、ちょっと想像してみます。
あなたはきっと、どんどんと近づいてくる就職活動に、かなり焦ってきますよね。周りの友人はどの人をみても、あなたよりも就職について考えているように見えるはずです。
みんなと同じようにスーツを着て、なんのためらいもなく就職活動をするのが不安で、どうせなら自分にしかできないことを仕事にしたいって思いませんか?そしてあなたは、そのやって見たい仕事が、子どもの頃から好きな映画関係だとぼんやり思い始めている頃です。
どうでしょう?少しは当たってましたか?
ここから少しどんよりした話になりますが、「映画関係で仕事をしたい」と両親や友達に打ち明けた時にこんなことを言われてないでしょうか?
「なんで映画学部で勉強してないのに、映画監督になれると思うの?」とか、「誰でもなれるような甘い世界じゃないよ」とか、「そもそも何か作ったことがあるの?」とか言われていませんか?
もし、こんなことを言われたら、ちょっとお手上げですよね。言い返すのがかなり難しいです。
でも、そうだとしてもまだ諦めなければ道はあります。なりたいものがあるならば、それに向かって一歩前に進むことがとても重要です。それでは、夢を叶えるための現実的な一歩についてお話ししますね。
映像系の会社に就職することが第一歩?
あなたは、「とりあえずそれっぽい映像系の会社に就職できればなんとかなるかも」って思っていませんか?確かにそういうところに就職できれば、その可能性はあるかもしれませんね。
でも実際は、映画監督になるために「就職活動を頑張ること」は、現実的な一歩にはなりません。
そもそも、いまのあなたには、そういう制作会社に就職できる能力があるのでしょうか?「就職したあとに必死で頑張ろう」って思ってませんか?
これを読んでいるあなたは、おそらく映像作品を作ったことがないはずです。僕も大学生の時にぼんやりと映像関係で働きたいと思ってるけど、映像を作ったことがなかったのでわかります。
高校生の時の文化祭でカメラを使って何かを作りましたが、作品と呼べるものではありませんでした。
映画監督だけはなぜか、「今からでも頑張ればなれる職業」みたいに感じますよね。でもこれは、はっきり言って妄想ですね。
ちょっと他の業界を例にして考えてみましょう。
野球をしたことがないけどプロ野球選手になれた人っています?
例えば、プロ野球選手を考えてみましょう。甲子園に出場する高校球児って毎日すごい量の練習をしてますよね。彼らの多くは小学生の頃から野球をしてますし、青春の多くをただひたすら野球につぎ込んでいます。
でも、甲子園に出た高校球児が必ずプロになれるのでしょうか?プロの選手になれるのは、甲子園に出た球児の中でもごくわずかです。ものすごく厳しい世界です。
一方であなたは、大学生の今になって将来のことを考え始め、ぼんやりと映画関係で働きたいと思っています。おそらくあなたには、そもそも映像制作に関わった経験もないですよね?
バットも振ったことがないのに、なんとなくプロ野球選手になれる人がいないように、カメラも持ったことがないのに、なんとなく映画監督になれる人もいません。
「でも、映画監督ってそういう人はたまにいませんか?」って反論があるかもしれません。でも残念ながら、それがあなたかもしれない確率は果てしなく低いように思います。
もう高校時代には戻れないし、このままの映像制作の経験がほぼゼロの状態で就職活動にだけ力を入れたとしても、「映画監督になる現実的な一歩」にはならないですね。
では、どうすれば良いんでしょうか?
卒業後に映像系の専門学校に行けばなんとかなるの?
このまま映像系の分野に就職できないならば、次はどうすればいいんでしょう?
まだ映像も作ったことないし、そういう教育を受けたこともないから、「大学を卒業してから、映像系の専門学校に行こうかな」って思い始めている人はいますよね?
確かに、専門学校で学べば、いまのあなたが持っていない映像に関する知識や経験が得られるかもしれません。
僕も大学生の頃に、「大学を卒業した後に専門学校にでも行こうかな?」なんてことを考えた一人なので気持ちはわかります。「経験も知識も何にもないからどうしよう?」って弱気になった頃に、映像の専門学校のHPなんかを見たりしてますよね?
別に専門学校に行くこと自体は悪くはないと思います。もちろん大学を卒業後に、専門学校で学んで成功している人もいるはずです。でも、あなたが映画監督になるための現実的な一歩ではないように思います。
それはなぜでしょう?
専門学校の2年間の学費はおよそ240万円!さて誰が払うの?
あなたはいま大学生ですよね。あなたはあまり実感していないかもしれませんが、毎年大学に学費を払っているわけです。
その上、卒業後に専門学校に行くとすると、さらにお金がかかります。
映像の専門学校の学費の平均は、年間でおよそ120万円くらいのようです。卒業するのに2年間かかるので総額は240万円です。
あなたが裕福な家庭の出身ならば、大学卒業後の専門学校への進学もありかもしれません。でも、もしあなたが裕福な家庭の出身でなければ240万円も払えないですよね。
日本の奨学金は、給付型の奨学金と違う学資ローンなので、卒業後すぐに返済が始まります。きちんとしたところに就職しないと返済できないし、奨学金は最近では問題が多いとニュースにもなってますよね。
アルバイトで240万円の学費を捻出しようとしても、時給千円のバイトを2,400時間もしなければいけません。週5で一日8時間のアルバイトをすると1年3ヶ月もかかります。
そもそも週5で一日8時間もバイトをすると、バイトで忙しくて映画どころではないですね。
もう一つ言えば、専門学校に入ったとしても、全員が卒業後に映画監督や映像関係に就職できるわけではありません。
「どうしても映画監督になりたいから親を説得します!」って人もいるかもしれないですが、そもそも240万円もあるならば、学校に払わないで、自分で何か映像製作ができそうですよね。
240万円払った後に、そもそもこの道が本当に自分に合っている道なのかわからなくなった時には、どうにもできませんね。なので、大学を卒業後に専門学校でわざわざ映像を学ぶのも、あなたのことを考えると現実的な一歩ではないように思います。
それじゃ、現実的な一歩ってなに?
就職もダメ、専門学校に行くのもダメ。「それじゃ、何をすればいいの?」って思いますよね。
僕があなたにオススメするのは、カメラを持って撮影をすることです。ちょっと当たり前すぎましたか?
でも、実際にあなたはカメラを持って撮影してますか?してないですよねー。
「ぼんやりと映画監督になりたいなぁ」って思っている大学生のほとんどが、あなたと同じように撮影をしてないと思いますよ。そうなると、明日からでもカメラを持って撮影し始めることが、どれだけ他の人との差になるんでしょう。
漫画家になりたいあなたの友人が、漫画を描くのは漫画家になってからと言って大学生のいまは全く漫画を描いていなかったらどうでしょう?
夢を叶えたいと思っている割にはちょっと現実的ではないですよね。
映像系で働きたいと思っている人で、まだ映像作品を作ったことがないならば、やれることは1つです。なんでもいいので作品を撮ってみることです。
サッカー選手になりたいならば、サッカーの練習をするでしょうし、ダンサーになりたい人は、ダンスの練習をします。映画監督になりたい人は、映像を作る練習をすればいいんです。
初めから超大作を作ろうとせずに、とりあえず挑戦してみることが大切です。1作目から「90分の作品をを作ろう!」と思わずに、初めは1分の作品でもいいし、撮影だけでもいいです。
泳げない人が、練習をして泳ぐようになる過程を考えてみてください。泳げないのに、「まずは、50mを泳いでみよう!」ってなりませんよね。まずは、水に顔をつける練習だったり、ビート板を使って泳ぐ練習をするはずです。簡単なことから始めることが大切です。
映画監督になりたいならば、明日からでもカメラを持って撮影をしてみましょう。毎日何かを撮影していればわかること、感じることがあるはずです。
撮影しろと言われてもカメラすら持っていません!
高いカメラじゃないと撮影ができないと思っている人はいませんか?ハリウッド映画を撮るために使われているカメラはものすごく高いものですが、これから始めるあなたにはそんな高いカメラはもちろん必要ないです。
例えば、これから料理を学ぼうとする人が、いきなり何十万もかけて包丁や鍋を買う必要があるでしょうか?とりあえずは、自分で買えるくらいの予算の道具で良いですよね。
料理をしたことがない人が高級な包丁を使ったとしても、美味しい料理ができるわけではないように、あなたが高いカメラを使ったとしても、すごい作品ができるわけではありません。
まずは、自分の予算に合うカメラでいいです。最近のカメラは性能がものすごくいいので、どんなカメラでもあなたの予想よりもキレイな画質の映像が撮影できます。
何を買っていいのかわからない人のために、少ない予算で買える機材のリストを載せておきますね。参考にしてみてください。
予算が10万円で揃えられる撮影機材ってどんなのがあるの?
本当に映像系で働きたいならば、スマホとかで撮影するのではなく、安くてもいいのでデジタル一眼レフなどのカメラを買った方がいいですね。いまならば、手頃な値段でも性能のいいカメラはいくらでもあります。
例えば、大学生なら予算10万円くらいで考えるといいと思います。
さっきお話しした専門学校に行くためのお金は240万円でしたね。このわずか5%でも12万円です。こう考えると、予算10万円はバイトと節約生活でまだなんとかなりそうな金額ではないでしょうか。
具体的にどんな撮影機材が必要?
すぐ新しいのが出るので、カメラのボディにはお金をかけない!
まずはカメラ。ビデオカメラではなく、デジタル一眼レフをおススメします。なぜかというと、ビデオカメラよりもデジタル一眼レフの方が画質がよくて映画っぽく撮れるからです。
デジタル一眼フレでオススメなのは、Canon EOS Kissシリーズのカメラです。でも、最新のものだと12万円くらいするのでカメラだけで予算を超えてしまいます。
同じCanon EOS Kissシリーズでも、少し前に出たモデルを選んでみましょう。ちょっと前のモデルでも、新しいモデルと比べて映像に関しての差はあまりないです。無理して新しいのを買っても、すぐに新しいのが出るので新しいことにこだわる必要はないでしょう。
iPhoneだって新しい機種がどんどん出ますよね。新しい機種が出るたびに機種交換をしていたらもったいないですし、性能もそこまで大きく変わらないはずです。
EOS Kiss X7(2017年9月現在)なんかはいいと思います。ビデオ撮影はフルHD(1920 x 1080)で、24pというフレームレートで撮影できるので映画のように撮れます。レンズと設定によってはカッコいいボケ味も出せます。写真も撮れるので、卒業旅行へも持って行くことができるでしょう。
キットレンズは、一般的にはあまりオススメではないですが、お金がなくて始めるならばキットレンズでいいと思います。
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最近よく耳にする4Kは編集のときに大変になると思うので、いまのあなたには必要ないと思いますよ。
一段上のレベルを目指すなら外付けマイクは必要!
デジタル一眼レフカメラは、そもそも写真撮影用のカメラなので、動画で必要となる音声録音に弱点があります。デジタル一眼レフで撮影した動画は、画質はいいけど、音質はよくないです。
どんな映像を作るにしても、音を使うのであれば、デジタル一眼レフと一緒に使える外付けマイクが必要になります。
あまり映像制作に知識がなければ、高いカメラに予算のほとんどをつぎ込むのでしょうね。でも、これは間違いです。ちょっといい外付けマイクにも予算を割くことで一段レベルが上の映像を作ることができます。
僕がオススメなのは、Rode VideoMic Proというマイクです。デジタル一眼レフでの撮影に一緒に使うマイクとして、世界で一番売れたマイクと言ってもいいでしょう。
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このマイクがあれば、デジタル一眼レフでもきれいに音が録音できます。あなたがお金に余裕ができて、カメラをソニーやパナソニックのミラーレスに買い換えたときにでも、このマイクを使うことができます。
カメラはどんどん新しいものが出てきますが、マイクは本当に変化が少ないので投資しても損することはないでしょう。
最後にメモリーカードとバッテリーを買って撮影に出かけよう!
あと、映像撮影に必要なのはSDカードです。
僕はTranscend 32GBを使っています。これを使っている理由は、値段が安かったからです。性能はよく、何年も使っていますが問題は全くないですね。
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動画撮影だとバッテリーの消費が早いので、予備のバッテリーを買っておいたほうがいいです。互換バッテリーという安いバッテリーがありますが性能に問題はないです。僕も互換バッテリーを値段の高い純正ではなく互換バッテリーを使ってます。
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ここまででかかる費用はざっと9万円です。10万円の予算で一万円あまるかもしれません。カメラにもう少し予算を割いてもいいでしょうし、他に使えそうな機材に投資してもいいでしょうね。
例えば、ちょっと変わった製品に興味があるならば、Zhiyun Smooth-Q 3軸の手持ち式スタビライザーというのがあります。この手のものではDJI OSMOが実際は人気なのですが、同じような機能でも価格が高いのでこちらでもいいと思います。これを使うと滑らかにカメラが移動するハリウッド映画でよく見る映像を撮影することができます。
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まとめ
とりあえず、やってみることが大切です。もしいくつか作品を作ってみて、これが将来の仕事になればいいなと思えば、悩むのをやめて映像の世界で仕事を探せばいいでしょうし、ちょっと違うなと思えば別の道を探せばいいのです。
少なくとも、映像制作者になる確実な一歩はカメラを買うことで踏み出せたと思います。専門学校に行くのに240万円もかけるくらいならば、その5%よりも少ない10万円の予算で買える撮影機材で実際に映画を作ってみるといいでしょう。
仕事になるかどうかわかりませんが、まずは実際にやってみないとわかりません。あなたの挑戦をみんなが応援するわけではないかもしれません。でも、10年後に「あぁ、あのときに挑戦しておけばよかったな」と後悔することだけは絶対に嫌ですよね。
あなたがレッドカーペッドの上を歩くときに、このブログを読んだことを思い出してくれれば幸いです。