質問「コンデジを買おうと思うのですが、コンデジでも映像制作をすることは可能ですか?画質や使い勝手で何か問題があれば、買う前に知っておきたいです。」
コンデジとは、コンパクトデジタルカメラの略です。その名前の通り、小さくコンパクトなので持ち運びに便利なカメラです。
一眼レフカメラとの大きな違いは、レンズが取り替え可能かどうかです。
レンスが付け替え可能な一眼レフとは違って、コンデジはレンズがカメラのボディと一体化しています。
コンデジでも映像制作はできるの?
さて、このコンデジでも映像制作はできるのでしょうか?
僕は、自分が制作しているドキュメンタリーの撮影でアメリカに行くことがありました。移動をする空港内などでも簡単に撮影できないものかと、小さめのカメラを探していたところ、見つけたのが「Powershot G7 X Mark II」というコンパクトデジカメです。
実際に使ってみて、映像制作に十分に使えるカメラだと思います。
ただ、乗り越えなければいけない問題もいくつかあるので、撮影中に直面するであろう問題と、その対策をお話ししますね。
この記事を読み終われば、比較的安いコンデジを使ってどうすれば映像制作が可能なのか理解できると思います。
予算が少なくても、工夫さえすれば思ったような短編映画やミュージックビデオが作れると思いますよ。
コンデジを使った映像撮影のいいところは何?
普段は一眼レフカメラで動画の撮影をしているので、コンデジでの撮影のメリットをたくさん見つけることができました。
コンデジ撮影のいいところを5つに分けてお話ししますね。
①小さくてすぐに取り出せるので、どこでも撮影ができる!
コンデジは、厚みは少しありますが、僕の使っているiPhone 6Sよりも一回り小さいくらいのサイズです。
大きさはおおよそ、幅10cm 高さ6cm、奥行きが4cmです。一番近い大きさのものは、石鹸ですかね。
メモリーカードやバッテリーを含んだ、カメラ全体の重さはたったの320g。
僕がいつも使っているカメラ(Canon 7D Mark II)とレンズ(Canon EF24-70mm F4L IS USM )の合計の重さが1,420gなので、およそ4分の1の重さしかありません。
例えば空港の中や、バスやタクシーの中で一眼レフで撮影をしようとすると、カメラバッグからカメラを取り出して撮影をするにもいちいち面倒くさくて、撮影するべきなのかをすごく考えてしまいます。
でも、コンデジならば小さな専用のバッグから出して、実際に撮影するのもすごく簡単にできてしまいます。
②画質がすごくいい!
僕が買ったPowershot G7 X Mark IIは、総画素数2,090万画素、1.0型高感度CMOSのカメラです。
個人的に、この数字がどういう意味なのかいまだにわかりませんが、実際の映像を見るとものすごくいいです。
F値は、ズームによって変動しますが、F1.8-2.8なので、映像にボケ味も出ますし、暗いところでも明るく撮影することができます。
光学ズームとデジタルズームを合わせた焦点距離は、35mm換算で24-400mmなので広角でも望遠でも対応できます。
一眼レフのボケ味にはかないませんが、レンズをいちいち交換しなくてもこれだけ画質がいいならば十分満足できます。
③手ぶれ補正があるので手ブレしづらい!
Powershot G7 X Mark IIには、手ブレを補正するDiGiC 7というのが搭載されていて、手ブレに強いです。
一眼レフカメラでの動画撮影では、手ブレが結構大きな問題なんですよね。
このコンデジは、歩きながら撮影していても、まだ耐えられる動画が撮影することができます。
ちなみに、手ブレをもっと少なくするために、JOBYのゴリラポッドも一緒に買いました。
本体をじかに手で持つよりもゴリラポッドのようなグリップをつけて撮影をすれば、歩いている時により手ブレを防ぐことができます。
④NDフィルターの機能がある!
コンデジで一番気に入っているのは、メニューの中にNDフィルターがあることです。
僕が使っている一眼レフ(Canon 7D Mark II)での動画撮影には、このNDフィルターの機能がありません。
NDフィルターがどういうものかと言えば、レンズを通して入る光の量を減らすフィルターです。
どんな時に使うかというと、外で撮影をする時に、天気が良すぎて太陽の光が強い時ってありますよね。
外の光が強すぎると、F値をどんどん高くしないと光で画面が白くなって撮影はできないですよね。
このPowershot G7 X IIは、F値が11までしかないので、屋外では撮影できないことになります。
そこで、メニューから「NDフィルターをON」を選択すると、光の量が抑えられるので、明るくても撮影ができるようになります。
それだけではなく、F値も小さいままで撮影ができるので、天気のいい屋外でもNDフィルターがONであれば、ボケ味のある映像が撮れるのです。
一眼レフでこれと同じことをするには、NDフィルターを別に購入しなければいけないので、お得な機能だと言えますね。
⑤コンデジの方が圧倒的に価格が安い!
コンデジと一眼レフを比較した時に、まず一番大きい違いは、その値段ですね。
バッテリーとメモリーカードを除いた値段で比較してみましょう。
コンデジのPowershot G7 X Mark IIは、いま買えば¥67,000-くらいで買えます。レンズは本体と一体型なので買う必要はありません。
一方、一眼レフのCanon 7D Mark IIだと、キットレンズ付きで¥179,000-くらいするようです。
入門機種のCanon Kiss X 8iのキットレンズ付きは、¥65,800-なので、この辺と比較する時には、ちょっと考える必要がありますね。
これから、コンデジのちょっとダメなところもお話しするので、それを踏まえてどっちがいいのか考えるといいですよ。
コンデジでの動画撮影でダメなところはどこ?
ここまで聞くと、「コンデジでの撮影は一眼レフでの撮影よりもいいんじゃないの!?」って思いますよね。
残念ながら、いい部分もあれば、もちろんダメな部分もあります。買ってから後悔してしまわないように、コンデジで映像制作をする上でダメなところをお話ししますね。
①バッテリーの持ちが短い!
このコンデジには、LB-13Lというバッテリーが使われています。
一眼レフと同じく、基本的に動画撮影用に開発されたカメラではないので、写真を撮影している文には満足でも、動画を撮影し始めるとバッテリーがどんどんと消費されていきます。
長時間の撮影をするには、いくつか予備のバッテリーを用意しておかないといけないでしょうね。
これは一眼レフでの撮影の時にでも同じなので、あまりダメなところにはならないかもしれませんね。
②外付けマイクをつける機能がまるでない!
一眼レフカメラも、コンデジも音に関しては残念ながら、合格点からははるかに低いところに位置しています。
一眼レフでの動画撮影では、写真用のカメラということもあり、録音される音が悪すぎるので、カメラの上についている外付けフラッシュを乗せるホットシューに、外付けのマイク(Rode Videomic Pro)なんかを接続して音を記録します。
Canon G7 X IIも、画質は良くても音が悪いので外付けマイクでもつけたいところですが、それをつけるホットシューがありません。
ホットシューがあったとしても、マイクを接続する入力端子がないのでそれもダメですね。
この点において、一眼レフの方がまだマシだと言えます。
コンデジでの撮影した素材をドキュメンタリーに使うのであれば、字幕をつけるとか、音声は諦めてナレーションをかぶせるなどで対応するしかないですね。
③シャッタースピードが撮影中に変わってしまう!
シャッタースピードを変更するのにレンズのダイヤルを回すのですが、これが撮影中に手に当たってしまって、勝手に変更されてしまいます。
シャッタースピードは、例えば24pで撮影する時には50、30pで撮影する時には60と決まっているので、勝手に変わってしまうとトラブルの元になります。写真の撮影用ならば、頻繁にシャッタースピードを変更しながら撮影をするのでしょうが、動画の撮影の時にはシャッタースピードを買えないことが原則です。
僕も撮影中や、撮影した後に、シャッタースピードが変わっていることに気がついたりすることが多く、気をつけないといけないと感じています。
ちょっとこの辺は一眼レフでの動画撮影にはない問題ですね。
まとめ
撮影した映像の質や、音声のことまでを考えるとやはり一眼レフでの動画撮影の方が、コンデジよりも優れているでしょう。
ただ、コンデジも値段を考えるとかなり優れた画質を持っていると言わざる得ません。いちいちカメラをカメラバッグから出せないような場所や、とっさの撮影には十分にメリットがあります。
メリットとデメリットを十分に認識した上で、どっちが自分に合っているのかを考えて購入して見れくれればいいなと思います。